私たち日本人にとって、海藻はお味噌汁に入れたり、酢の物にしたり、あるいはサラダにしたりと、なじみの深い食材ですね。
ところが、海藻を食べる国は、日本のほかは、中国やインドネシアなど、アジアの一部と、フランスの沿岸部など、世界ではごく限られた地域だけなんです。
じつは、私たちは海藻を食べることで、とても良い恩恵にあずかっているのです。
今回は、海藻、とりわけネバネバの海藻を取り上げて、その健康効果をお伝えしますね。
目次
海藻のネバネバ成分は「フコイダン」
海藻の中でも、コンブ、ワカメ、モズクなどの褐藻類は、特にネバネバ(ヌルヌルと言った方がいいかも・・・)しています。
このネバネバ・ヌルヌルの正体は、フコイダンという硫酸化多糖類の一種の食物繊維です。
このフコイダンのネバネバが海藻の表面を守っているのです。
ネバネバ成分「フコイダン」は体にいいの ?
フコイダンを摂ると、何かいいことがあるのでしょうか ?
はい。じつはいいこと、大ありなんです !
フコイダンは、胃を守り、お腹の調子を整えるほか、免疫力を高めたり、その上美容にも効果があるんです。
フコイダンの健康効果
それでは、フコイダンの健康効果をひとつずつ見てゆきましょう。
胃を守る
「ピロリ菌」って聞いたことありますよね。
そうです。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因となる、あの、いやな菌です。
じつは、ピロリ菌は胃の粘膜にある硫酸基が好きなのです。
ですから、胃に住みついて悪さをするのです。
フコイダンは、硫酸化多糖類なので、この硫酸基を持っています。
胃にフコイダンが入ると、ピロリ菌はフコイダンの硫酸基に吸い付いて胃からはがれます。
そして、そのまま腸を通って排せつされてしまいます。
これが、フコイダンが胃を守る仕組みなのです。
免疫力を高める
フコイダンには、「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」を活性化させる働きがあることが知られています。
NK細胞は、体内に侵入したウイルスや病原体を見つけて攻撃し、病気の発生を防ぐという重要な役割を持っています。
ですから、フコイダンを摂ることによって免疫力が高まり、病気になりにくくなるのです。
お腹の調子を整える
フコイダンは水溶性の食物繊維でもあるので、腸内で善玉菌のエサとなって善玉菌を増やして悪玉菌を抑える効果があります。
さらに便を柔らかくする作用があるので、便秘解消にもつながります。
そして、腸には免疫細胞が最も多く集まっているので、腸の調子が整えられると免疫力も高まって一石二鳥の効果が期待できるのです。
肝臓の機能を向上させる
フコイダンにはHGF(肝細胞増殖因子)の生成を促進する働きがあります。
つまり、傷ついた肝臓の細胞を修復してくれるのです。
肝機能が心配な方は、フコイダンを豊富に含むコンブ(特に根元のメカブと言われる部分)、ワカメ、モズクなどを食生活に取り入れてはいかがでしょうか ?
(身に覚えがあるので、つい強調してしまいました)
美容効果
フコイダンには、強い抗酸化作用があることが知られてします。
と言うことは、シミ、シワなどの原因となる活性酸素を抑えて、肌の老化を防いでくれるということです。
それだけでなく、活性酸素を抑えることは、生活習慣病の予防にもつながります。
さらに、フコイダンには、血液中のコレステロールや中性脂肪を低下させる作用もあると言われています。
フコイダンって本当にすごいですね !
あと、フコイダンは髪にもいいんですよ。
気になる方はこちらもあわせてどうぞです。
>> わかめ ひじきは髪にいい ? 栄養素は ? 食べ過ぎると ?
おまけ
縄文時代や弥生時代の遺跡からホンダワラなどの海藻の一部が発見されているそうです。
また、万葉集にも読み人知らずのうたの中に、「和海藻(ワカメ)」が登場しています。
これらのことから、私たち日本人がいかに古くから海藻に親しんできたかが分かりますね。
おわりに
いかがでしたか ?
ネバネバ成分「フコイダン」を含む海藻が体に良い理由、納得して頂けたでしょうか ?
「ネバネバ食品は体にいい !」で取り上げた、納豆、オクラ、ヤマイモなどのネバネバは成分「ムチン」という成分でした。
「ムチン」にも様々な健康効果がありますが、ムチンは熱に弱という性質があります。
しかし、海藻のネバネバ成分「フコイダン」は熱に強いので、調理方法が広がるところが良いですね。
よろしければこちらもご参照ください
→ ネバネバ食品は体にいい 納豆 オクラ ヤマイモ編 !
最後までお読みくださって有難うございました。