うつ病で休職して、その後休職期間が過ぎて会社を辞めた・・・。
この後どうしよう ?
うつ病で会社を辞めて、労災申請した人がいって言うけど、そもそもうつ病で労災に認定してもらうことができるの ?
労災に認定されると手当が厚いって聞いたけど本当 ?
ここではそんな疑問にお答えしたいと思います。
目次
うつ病で労災に認定される ?
うつ病や精神的病で会社を辞めた場合、病気の原因が仕事にあるなら、労災と認定されるケースがあります。
仕事上の原因とはなんでしょう ?
最も分かりやすい例として次の2つがあげられます。
①パワハラ
②長時間労働
有ってはならないことですが、パワハラで体調を崩して退職する人はかなりいると言います。
うつ病の原因がパワハラと認められた場合、労災に認定されます。
もうひとつの長時間労働がうつ病の原因と認められれば、やはり労災として認定されます。
では、労災認定の基準は何でしょう ?
それは、
・発病前のおおむね6ヵ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
とされています。(出典 : 厚生労働省のパンフレット「精神障害の労災認定」より)
つまり、おおよそ6ヵ月の間に上司の理不尽な叱責をたびたび受けたとか、長時間労働が一定期間続いたことが証明できれば労災として認定される確度が高くなるということです。
認定されるかどうかは、業務以外の原因となりうる要素はなかったか(たとえばアルコール依存が高いとか・・・)、パワハラの程度がどのくらいで、病気との明らかな因果関係が認められるか、など多角的に審査されます。
ここで,労災と認定される長時間労働とはどれくらいかも触れておきますね。
・発病直前の2ヵ月間連続して1ヵ月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行った
・発病直前の3ヵ月間連続して1ヵ月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行った
上記がひとつの目安として前出の 厚生労働省の「精神障害の労災認定」に示されています。
同パンフレットには、実際にはかなりきめ細かく判断の目安が記載されています。
うつ病が労災として認定されるかどうかの決め手は、証拠です。
上司のパワハラなら、たとえばボイスレコーダーに叱責の状況を録音しておくとか、同僚の証言が得られれば有力な証拠となります。
でも、同僚は自分への飛び火を恐れて、証言してくれないかも知れません。
ノートや日記に上司が言ったことを詳細に記録したものも証拠となり得ます。
日時も記録して、できれば自筆で作成することが望ましいです。
理由はパソコンで作成したものより、自ら作成したことが明らかだからです。
長時間労働を原因とする場合は、タイムカードや出勤簿などが証拠となりますから、写しを取っておくのが良いでしょう。
うつ病で労災 傷病手当との違いは ?
などうつ病になると、多くの場合、医師に休職を要する旨の診断書を書いてもらい、休職してその間、傷病手当を受給します。
労災と傷病手当の決定的な違いは、業務によるかどうかです。
・傷病手当
私傷病、つまり「業務外の傷病」に対して、健康保険から支給される
・労災
仕事によって発症した場合に認められて、労働保険から支給される
ですから、労災保険と傷病保険の併用はありません。いずれか一方が認定されれば必然的に他方は認定されません。
うつ病で労災 金額は ?
労災に認定されると、いくら支給されるのでしょうか ?
労災による休業補償金は次の通りです。
①療養補償給付 :入院費や治療費については100%労災保険が負担
(つまり本人負担は0)
②休業補償給付 :平均賃金の60%支給
③休業特別支給金:平均賃金の20%支給
つまり、治療費のほかに、上の②と③を合わせて、それまでもらっていた平均賃金のなんと80%が支給されるのです。
ここで、平均賃金とは「給付基礎日額」のことで、3ヵ月間の平均日額を言います。
給付基礎日額 = A ÷ B A : 算定事由発生日以前3ヵ月間に支払われた賃金の総額
B : 算定事由発生日以前3ヵ月間の総日数(総暦日数)
なお、算定には、賞与などの臨時の賃金は含まれません。
うつ病で労災 期間は ?
では、労災による休業補償金が支払われる期間はどれくらいでしょうか ?
①休業補償給付は、療養開始から1年6ヶ月が経過まで支給されます。
②1年6ヶ月が経過して、病気の状態が、傷病等級第1級から第3級に該当する場合は傷病補償年金に切り替わって支給されます。
③傷病等級に該当しない場合は、休業補償給付がそのまま支給され続けます。
④ただし、病気が治らなくても、その症状が安定し、疾病が固定した状態になって治療の必要がなくなった場合には、療養補償給付は支給されなくなります。
次の章で傷病補償年金について触れておきますね。
うつ病で労災 障害年金への移行とは ?
うつ病で労災認定を受け、休業補償給付を受けている場合、1年6ヶ月が経過した時点で、病気の状態が次の1~3に該当する場合は、障害年金への移行となります。
傷病等級 |
障害の状態 |
第1級 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの |
第2級 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの |
第3級 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの |
もらえる年金の額は次の通りです。
傷病等級 |
傷病(補償)年金 |
傷病特別支給金(一時金) |
傷病特別年金 |
第1級 |
給付基礎日額の313日分 |
114万円 |
算定基礎日額の313日分 |
第2級 |
給付基礎日額の277日分 |
107万円 |
算定基礎日額の277日分 |
第3級 |
給付基礎日額の245日分 |
100万円 |
算定基礎日額の245日分 |
何だか分かりにくいので、補足しておきますね。
・傷病(補償)年金
ボーナスを含まない平均賃金から算定されます。
・傷病特別支給金(一時金)
一時金ですから一回だけ支給されます。
・傷病特別年金
ボーナスから算定されます。
算定基礎日額とは、発症した日以前1年間に事業主から支払われた3ヶ月を越える期間に支払われたボーナスなどをいい、365で割った金額をいいます。
なお、傷病(補償)年金は、労働基準監督署が権限によって支給・不支給を決定するので、されるため、特に自分でする手続きありませ。
ただし、療養開始から1年6ヶ月を過ぎても、病気が治っていない場合は「傷病の状況等に関する届」を労働基準監督署に届出る必要があります。
うつ病 労災 申請の方法は ?
労働災害の認定を受けるには、労働基準監督署に備え付けてある請求書を提出します。
それによって、労働基準監督署が必要な調査を行い、認定の可否が決定されます。
うつ病で休業補償請求をした場合、決定までにおおむね6か月程度を要することが多いようです。
おわりに
うつ病で働けなくなってしまったとき、労災認定されるかどうか、認定された場合の需給と期間、さらに障害年金への移行についてお伝えしましたが、参考になりましたでしょうか ?
うつ病といっても軽度のものから、重度のものまであって、就労できなくなってしまう方もいます。
そんなとき、労災が認められれば上で見てきたように、手厚い補償を受けることができます。
ただ、労災に認定されれば、会社として適切な労務管理ができていなかったことになりますから、労働基準監督署の調査に対して、どこまで協力的な態度で臨むかは予想しにくいところです。
パワハラに遭ったり、長時間労働が続いたときは、万一に備えて、証拠となる記録をできるだけ詳細に残しておくことが身を守るツールになることを覚えておいてくださいね。
うつ病で失業保険がもらえるかについてはこちらをどうぞ
>> うつ病で退職 お金はどうする ? 傷病手当は ? 失業保険は ?
会社側の対応について知りたい方は、こちらもどうぞ。
>> 社員がうつ病になった!? 会社の対応は ? 休職させる? 退職 ?
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最後までお読みくださってありがとうございました。