父が亡くなって、実家が無人となりました。
遠隔なこともあって、私自身が実家に移り住むわけにもいきません。
しかも実家は借地の上に建てられたものです。
土地を大家さんに返すとなると、家を取り壊して更地にしなければならないのか ?
その場合の費用は ?
今回は、この問題に私がどう対処したかをお伝えしたいと思います。
私のようなケースは少ないかも知れません。
でももし、似たような状況に直面した方がいらしたら、参考になればと思って記事にしました。
目次
借地に建てた家 処分はどうしたらいいの ?
私のように、借地に建てた実家に住めない事情がある場合は、必然的に借地を返さなくてはなりません。
借地を返すときの条件は ?
借地借家法によれば、原則として借地を返すときは、建物を取り壊して更地にして返す必要があります。
ただし、土地の賃借契約期間が満了して、大家さんが契約の更新に応じない場合は、大家さんに対して「建物を買い取ってください」と言うことができます。
これを「建物買取請求権」と言います。
これは、お金をかけて建物を建てた賃借人を保護することを目的としたものなんです。
ですが、期間満了前に双方が合意して解約する場合は「建物買取請求権」を行使することができないのです。
私の場合は、父が残した契約書を見ると契約期間は50年間となっていました。
実家は築40年を超えていましたから、期間満了まであと数年を残しています。
大家さんは、「期間満了後もどうぞそのままお使いください。」と将来の更新を前提としているようです。
となると、解約する場合は「建物買取請求権」は行使できそうにありません。
やはり「更地」にするしかないのでしょうか ?
借地に建てた家を壊す費用は ?
更地にする費用を知るために、建物の解体を請け負う業者 2社に見積もりを取ってみました。
木造・モルタル二階建ての解体です。
いずれもおよそ100万円オーバーでした。
これではたまりません。
父が残してくれた財産はほとんどありません。
葬儀を終えて残ったお金は数十万です。
借地に建てた家を貸す ?
家を残すとすれば、それなりに手を入れて維持することが前提となります。
たとえば人に貸す場合、家に何か不備が生じた場合は修理費をすべてこちらが負担しなければなりません。
まして、私の場合は遠隔なので、実質的に管理することは不可能と思います。
ですから、家を手入れして人に貸すことは、選択肢から除外せざるをえません。
借地に建てた家の処分 相続放棄を視野に
そこで考えたのが「相続放棄」です。
プラスの遺産もマイナスの遺産も含めて、すべてを放棄するというものです。
つまり、残った数十万円の現金も、借地上に建てられた家もまとめて放棄してしまうのです。
その代わり、家を解体して更地にする義務もなくなります。
放棄された遺産は国庫に入ります。
つまり国の管理するところとなるのです。
ただし、これは被相続人(つまり私の父)が亡くなってから3ヵ月以内に手続を行わなくてはなりません。
借地に建てた家の処分 大大家さんとの交渉
まずは、次の提案を試みました。
「建物を大家さんに買い取って頂いて、借地権付きの家として売却するなり賃貸の家として人に貸すと言うのはいかがでしょうか ?」
大家さんとしては、売るにしても貸すにしても家をリフォームする必要があります。
いや、築40年を過ぎているので、むしろ建て替えなければ買い手も借り手もつかないと判断されたようです。
当然、答えは「ノー」でした。
そこで次に、大家さんにこのように持ち掛けました。
「建物を解体して更地にする費用を捻出することはとてもできないので、相続放棄を検討しています。
もうひとつ別な案として、建物をそちらに無償譲渡することも考えますが、どちらが望ましいでしょうか ?」
大家さんは、建物の無償譲渡を選びました。
理由は、建物が国庫の管理となってしまえば、何も手を出せなくなってしまうからです。
その結果、建物の下の土地が活用できなくなって、大家さんとしては困ったことになるのです。
結果的に、私は100万円超の解体費の支出を免れて、少ないながら父の遺産を手元に残すことができました(これは、一周忌の費用に使わせてもらいました)。
私がしたことは、建物の相続登記と大家さんとの譲渡契約書への署名・捺印、そして建物の大家さんへの所有権移転登記の協力です。
大家さんには解体費を支出させることになって申し訳なかったのですが、こちらの事情を汲んでくれて、終始おだやかに進められたことに感謝しています。
おわりに
さいごまでお読みくださって有難うございます。
この記事はあなたの参考になりましたでしょうか ?
尚、上記の内容は、知り合いの弁護士さんに相談して行動したことを記載したものですが、私自身は法律に詳しくありませんので、法律に関する記述で間違いがあってもご容赦くださいね。
あくまでも私が行った事実だけを参考にして頂ければ幸いです。