もみじがり。
なんだか風情があって美しいびきのあることばですね。
もみじを狩る ?
動物でもないのに、どうして「狩る」ということばを使うようになったのでしょう ?
ここでは、古来からある日本の情緒ゆたかな風習「もみじがり」の由来と紅葉のしくみ、などについてお伝えしたいと思います。
もみじがりの由来
もともとは、獣や鳥などを捕らえる意味で使われていた「狩り」がしだいに果物や植物を採るという意味にも使われるようにり、やがて、草花を愛でる(めでる)意味として使われるようになったと言われています。
そうです。
もみじを採るわけではなく、眺めて愛でるという意味なのです。
なんでも、平安時代の貴族のなかには、狩りをしない者もいて、自然の草花を愛でて「狩り」にたとえたのが「もみじがり」の由来なのだそうです。
ちなみに、「万葉集」のなかにも「もみじ」を織り込んだ歌が多数登場しますから、「もみじがり」の風習は当時からあったことがうかがえますね。
ただ、「紅葉」の字を使っているのは少なく、たいていは「黄葉(もみち)または(もみちば)」と書かれています。
たとえば、
「黄葉(もみちば)の 過ぎまく惜しみ 思ふどち
遊ぶ今夜(こよひ)は 明けずもあらぬか 」 大伴家持
(紅葉が散ってゆくのを惜しみながら
気心のしれたもの同士遊ぶ今宵、夜が明けなければいいのに。)
などと詠まれています。
紅葉の仕組み
ところで、紅葉はどのようにして起こるのでしょうか?
これは、楓やイチョウなどの落葉樹の冬支度の過程なのです。
落葉樹は、冬を耐えるために秋に葉を落とします。
そのために、水分や糖分を葉に送るのを止めてしまうのです。
そうすることで、葉緑素(クロロフィル)が壊れてしまい、かわりにそれまで隠れていた他の色素が見えてくるようになります。
この色素がカロテノイドという黄色い色素だったり、アントシアニンという赤い色素だったりします。
イチョウなどはカロテノイドが多いので黄葉し、楓などはアントシアニンが多いので紅葉するのです。
これが、黄葉や紅葉になる仕組みなのです。
紅葉の条件
では、紅葉はどんな条件が揃えばより美しくなるのでしょうか?
日中の最低気温が8℃以下になると紅葉が始まり、5℃位下になると、一気に進むと言われています。
さらに、次の条件が満たされると、いっそうきれいに紅葉が進みます。
・昼夜の寒暖の差が大きいこと
夜の気温が低くならないと葉緑素の分解が進みにくくなります。
・適度な水分があること
乾燥しすぎると、紅葉が進む前に葉が落ちてしまいます。
紅葉とは、落葉樹が自らを守るための仕組みだったのですね。
それが私たちの目を楽しませてくれるなんて、自然の摂理は有難いものですね。
まとめ
いかがでしたか ?
ちょっとだけ、「もみじがり」の由来や「紅葉」の仕組みがわかったところで、今年も近隣のもみじがりスポットへ出かけてみませんか ?
きっと、味わい方が少し違ってくるのではないでしょうか ?
最後までお読みくださって有難うございます。
この記事が、読んで下さったあなたのお役に立てばうれしいです。