冷たい蕎麦にはわさびを入れて、温かい蕎麦には七味を入れる。
ふだん何となくそうして食べていますが、この違いはどこからきたのでしょう ?
実は、これには歴史的背景があったのです。
今回は、この違いについてまとめてみました。
冷たいそばと「わさび」のむすびつき
そばの歴史はたいへん古く、縄文土器からそば料理を食べていた形跡が発見されていると言われています。
広く食されるようになったのは、鎌倉時代で、そば粉を熱湯でこねて餅状にした「蕎麦がき」として食されていました。
それが、江戸時代初期(1600年代)になって細い麺状にした「そば切り」の形で食されるようになったと言われています。
これは、冷たいままで食されました。
温かいそばが出るのはもう少し後のことなのです。
そばには「たれ」が付き物ですが、当初「たれ」は煮詰めた酒と醤油で作ったり、味噌を水に溶いて作られたとされています。
そこに、鰹節が使われるようになって旨味が増しました。しかし、そのかわりに鰹節特有の生臭さが出てしまいました。
この鰹節の臭みを消すために、大根おろしが用いられるようになったのです。
同じころ、わさびが栽培されるようになると、大根おろしの代わりにわさびが使われ始め、そばと一緒に広まったと言われています。
温かいそばの登場
江戸時代初期に広がったそばですが、江戸時代中期(1700年代前後)になると、いちいちたれにつけて食べるのが面倒だという人たちが現れて、直接麺にたれをかけて食する方法が出てきました。
これは「ぶっかけ」と呼ばれました。
そして寒い時期には温かいたれをかけて食べる習慣が生まれて、現在の温かいそばの原型ができたと言われています。
このとき、温かいそばには、わさびは使われませんでした。
代わりに使われたのが七味唐辛子だったのです。
温かいそばに七味唐辛子が使われた理由
なぜ温かいそばにわさびが使われなかったかと言いますと、わさびの香味は揮発性なので暖かいとすぐ飛んでしまうからと言われています。
もう一つの理由は、わさびより、七味唐辛子の方が体を温める効果が高いからと考えられています。
唐辛子には「カプサイシン」という血のめぐりを良くして体を温める効果のある成分が含まれているからです。
七味唐辛子が考案されたのもわさび栽培が普及した江戸時代初期のころだったのですが、冷たい蕎麦切りには既にわさびが付いていたので、七味唐辛子と蕎麦は結びつかなかったのです。
代わりに、温かいそばの普及とあわせて七味唐辛子が使われるようになったと考えられます。
おわりに
いかがでしたか ?
冷たい蕎麦にわさびが、そして温かい蕎麦に七味唐辛子が使われる理由がお分かりになったと思います。
そばと薬味に関する歴史の流れを知ると、そばも一層味わい深いものになるのではないでしょうか ?
でも、「薬味」は好みがありますから、冷たいそばに七味唐辛子を使い、暖かいそばにわさびや大根おろしを使う方もいらっしゃると思います。
美味しく頂くオプションのひとつと考えると、自分に合ったオプションが見つけられればベストですね。
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