寒冷地に住んでいると、冬の間サイドブレーキをかけないのは鉄則と言うか常識なんですが、それでもつい習慣でサイドブレーキを引いてしまうことがあります。
私も冬の初めころはやってしまいます。
あと、普段暖かいところに住んでいる方がスキー場に車で行った場合、サイドブレーキかけてしまうこと、多いですね。
これが凍結すると厄介なんです。
ブレーキが戻らないので車を動かすわけにもいかず・・・さあ、どうしましょう !?
ここでは、そんな場合の対処についてお伝えしたいと思います。
そもそもサイドブレーキって何のためにあるの ?
ブレーキには、フットブレーキとサイドブレーキとエンジンブレーキの3つありますよね。
エンジンブレーキは別としても、フットブレーキとサイドブレーキってどうちがうのでしょう ?
フットブレーキとは
フットブレーキは走っている車に制動をかけるためのもので、油圧を使って4輪にブレーキをかけます。
ですから、強力です。
でも、油圧なのでエンジンをかけているときしか使えません。
サイドブレーキとは
一方、サイドブレーキは、止まっている車が傾斜などで動くのを防ぐためのものです。
ワイヤーで引っ張ることで、ドラムかディスクにパッドを当ててブレーキを掛けるもので、後輪のみに作用します。
こちらは強力ではありませんが、油圧ではないのでエンジンがかかっていなくても使えます。
ここまでを予備知識として、早速サイドブレーキの凍結について見てゆきますね。
サイドブレーキが凍結 ! お湯をかける ?
サイドブレーキの凍結って、一体どこが凍るのでしょう ?
凍結個所は二通りあります。
①ブレーキワイヤーを覆っている保護シールド(ゴムなどの管)に入った水分が凍結する
②ブレーキワイヤーとリヤブレーキの接合部分に付着した雪や水分が凍結する
ワイヤーの保護シールドは車の裏側に這っていますし、リヤブレーキの接合場所はタイヤの裏側ですから、いずれも、私たちの目にふれる場所ではありません。
凍結を溶かすにはお湯をかける ?
よく、サイドブレーキが凍結したらお湯をかけると良いと言いますが、一体どこに !?
凍結個所は見えない場所ですから、どこにお湯をかけていいか分かりませんよね ?
一説では、後輪のドラムかディスクにお湯をかけると良いとか、ホイールにお湯をかけ続ければ溶けるとか言いますが、凍結個所に熱が伝わるまでには相当のお湯をかけ続けないといけませんね。
あまり現実的ではないようです。
もし、凍結個所がワイヤーの保護シールドなら、ホースで車の裏側にまんべんなくお湯をかけ続けるのは効果が期待できます。
ただ、駐車場までお湯を通すホースを引いて来れればの話ではありますが・・・。
暖機運転をして待つ ?
エンジンをかけて車全体が温まって凍結が溶けるのを待つのはどうでしょう ?
エンジンや車内の温度は上がりますが、車外の凍結部分までは熱が伝わりにくいですから、これも現実的ではありません。
無理やり走ってみる ?
じつは、サイドブレーキをかけた状態でも車は走るんです。
もともとそれほど強い力でブレーキがかかっているわけではありませんから、アクセルを踏めば車は動きます。
ブレーキの摩擦熱で凍結が溶けたところでサイドブレーキを解除すればOK、と言う猛者(?)もいます。
ですが、サイドブレーキを引いたまま走行を続けるとどうなるでしょう ?
サイドブレーキがドラム式なら焼け付きしてしまう事があります。
ディスク式ならブレーキフルードのオイル漏れやベーパーロック現象やフェード現象が起きて、フットブレーキが利かなくなる恐れがあります。
最悪の場合は発熱から火災が起こる事だってあります。
いずれにしてもサイドブレーキがかかったまま無理に走行するのは、故障や事故のもととなります。
ですから、この方法はおススメできません。
ベーパーロック現象 フェード現象
加熱によって液体中に泡が生じ圧力の伝達が阻害される現象のこと。
ブレーキの連続使用によって、摩擦材のゴムや樹脂などが耐熱温度を越えてしまい、分解・ガス化して、ブレーキローターに入り込んで潤滑剤となり、ブレーキが利かなくなる現象。
サイドブレーキが凍結 ! 正しい対処は ?
サイドブレーキが凍結した場合の考えられる対処を検討しましたが、どれも “???” ですよね。
運が良ければホースでお湯をかけて、凍結を溶かすことができる程度です。
確実なのは、JAF等のロードサービスにお願いすることです。
東京の友人が、スキーをするために山形の蔵王に車で行ったとき、やはりサイドブレーキを引いてしまって、翌朝凍結して困り果てたことがありました。
彼は、思いあまってJAFを呼んだんです。
来てくれたJAFのお兄さんは、ハンマーでワイヤーを叩いて凍結を解除してくれたそうです。
なんと、溶かしたのではなく、叩いて解除でした。
素人にはどのあたりをどれくらいの強さで叩けばいいのは分かりません。
ヘタに叩いてかえって損傷しては何もなりませんから、やはりプロに任せるのが間違いありません。
それ以前に、冬は寒冷地ではサイドブレーキをかけないようにしてくださいね。
基本は次のとおりです。
・サイドブレーキはかけない
・AT(オートマ)車であれば、Pレンジに
・MT(マニュアル)車であれば、ローが、バックに入れる
おわりに
いかがでしたか ?
寒冷地でサイドブレーキが凍結した場合の対処についてお伝えしましたが、参考になりましたでしょうか ?
一番の対処は予防です。
くれぐれもお気を付けくださいね。
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最後までお読みくださってありがとうございました。